海外在住の日本語通訳のあれやこれや

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ルーマニアの日本語通訳:ルイーザさん

ルーマニアと聞いて、何を思い浮かべるだろうか? ドラキュラ?金髪美女?

あるいはサッカーに詳しい人であるならば、東欧のマラドーナと呼ばれたハジなどを思い浮かべるかもしれない。

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多くの日本人にとって、ルーマニアは遠い国であり、縁もゆかりもない国だ。ルーマニアが独自の通貨を持っており、ルーマニアの首都ブカレストはかって「小さなパリ」と呼ばれていたことなど、ほとんどの日本人が知らないだろう。

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かっては農業で栄えていたが、現在は工業化に成功しており、経済も1989年に打倒されたチャウシェスク独裁政権の頃に比べれば飛躍的に発展したと言える。

外務省のデータによると、2015年の経済成長率は3.7%、一人当たりGDPは8,906米ドルあり、ほかの東欧諸国と比べると高い水準にあると言える。

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ルイーザさんはそんなルーマニアで育った日本語通訳および翻訳家だ。ただ残念ながら、日本におけるルーマニア語のニーズはそれほど高いとは言えないので、今は主に英語の翻訳家として活躍している。

ルーマニアの首都ブカレストから車で2時間半のコンスタンツァに生まれ、2002年より6年間日本に住んだ経験がある。またいずれは日本に住みたいと願っているほど、日本が大好きなルイーザさんだ。 帰国後の2009年より会社を設立し、現在は60名ほど生徒を抱える校長さんでもある。

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実際にお会いしてずっと日本語で話したが、まったく違和感がないほど流暢な日本語を操るので、話していてルイーザさんが外国人であるということを忘れてしまうぐらいだ。

ルーマニアハンガリーブルガリアに比べて観光資源が多いと言えず、知名度も大きく劣る。 だが、首都ブカレストは思った以上に整備され、さすがはかって「小さなパリ」と呼ばれていたことがあるほど美しい街だった。 個人的に話してみて印象的だったのは、ルイーザさんが日本語を学んだきっかけに、イギリス人作家ジェームズ・クラベルの「将軍」をあげたときのことだ。共産党時代に隠れて読んでいたらしく、見つかったら大変なことになったかもしれない。

 

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そして、いつ終わることもしれない共産党一党独裁体制のなか、遠い東洋の島国のことが書かれた小説を読む気持ちは、きっと日本人の僕たちには理解できないだろう。 当然、今の日本は「将軍」の時代である江戸時代の面影などなく、サムライも着物を着た日本人もほとんど見かけない。

現在の首都ブカレストにいても、東京に比べると本当に田舎だと思うし、人口密度の低さがむしろ心地いいくらいだ。 現在ルーマニアは東欧のなかではポーランドに次いで日本語熱が高く、ブカレスト大学には日本語学科があり、国内では1500人以上の人たちが熱心に日本語を学んでいると言われている。

日本からこんな遠く離れた地でも日本の文化は語り継がれていて、しっかりとその文化を学びこれほどまでに流暢に日本語を操る通訳の方がいることにとても興奮した。